続きです。
最初にご献体と対面したときは「うゎ~死体だ、死んでるんだ。。。」となりましたが
もうほんとに最初だけです、実際にメスを持って切り始めたら、もう怖さとか
グロテスク感とかは消し飛びます。
どうなっているんだろう?という興味が勝りはじめます。
これは私だけでなく、参加している人ほぼ全員だったと思います。
ただ実際にメスを持って切り始めてみると非常に難しいんです。
想像の中ではメスでサクサク切って、筋肉の構造とか付き方とかすぐ分かるかと思って
いたのですが、実際は少しずつ皮を剥いで、ようやく筋肉が表層から少しづつ見えて
という感じでとても繊細な作業の連続です。
1日目は目的とする部位の皮や脂肪の削除でほぼ終了です。
脂肪は色々なところに黄色くこびり付いていて、見るだけでもこれが体にたくさんあったら
健康に良くないと思わせてくれるそんな存在でした!
2日目にようやく筋肉の接合部やインナーマッスルなどに到着です。
すると解剖図でははっきりと別れている筋肉ですが、実際はここで別れているのかな~
くらいしかわからないんですね、
またどれが〇〇筋でどれが〇〇筋なのか、とかも講師の方に聞かないとよく分からないんです。
そのくらい実際の生身の筋肉は分からないことだらけでした。
最終3日目で内臓や骨などにメスを入れていきます。
まず内臓を覆っている腹膜ってすごい!そして腹膜を割いて中を見ると
肝臓ってこんなに大きいんだ、肺ってスポンジみたい(ほんとにぎゅっと絞るとスポンジ状なんです)
小腸は赤くて綺麗とか、純粋に体の不思議さを実感しました。
またそのご献体の方は動脈硬化を起こしていて、心臓からすぐの動脈はまるでプラスティックのようで
動脈硬化はほんとに恐ろしい病気だと思いました。
続いて骨ですが当たり前ですが非常に固いです、死んだら骨が最後まで残ると思いますが
それを実感させてくれました。
そして肝心の仙腸関節ですね、動くのかどうか、結果はよく分かりませんでした。
というのはご献体を仙腸関節剥き出しの状態にしたわけではありません。
その状態で動くかどうかをやらないと検証できないという結論です。
ただ今回の解剖研修に参加していた方で、もう何度も解剖してる方(大学の教授兼理学療法士)が
生きている人をCT検査しながら確認すると数ミリは動くのが確認できますよと教えてくれました。
やはり仙腸関節は少しですが動くようです!
そして最後は脳みそです。
頭蓋骨は非常に固いので電動のこぎりを使って開頭していきます。
骨を焦がすにおいが鼻を突きます。
まぶたの上くらいの位置を電動のこぎりで一周します、一周したら手でふたを外すように
頭蓋骨を外します。
すると脳が丸見えになります。
ホルマリン漬けではないので、脳は非常に脆くすぐに壊れてしまうとの説明を受け、脳を実際に触ります。
するともうほんとにシュークリームのような柔らかさで、ちょっと触っただけで
どろどろと溶けていきます。
海馬とか脳下垂体とかまったくわかりません!(ホルマリン漬けだとよく観察できます)
生きている人間の脳はもうちょっと安定しているとのことでしたが、これでは脳梗塞や
脳出血とか起こしてしまったら、今の医学では脳の回復はまだまだ難しいのだろうな~と
変なところを実感しました。。
さてさて、こんな感じで解剖研修は終わりました。
感想は一回目では、分からないことが分からない感じで終わってしまったかなと
なので数年後にまたタイミング等あえば、分からないことが分かったので、それを踏まえて
また行ってみたいなという感じです。
そして、この経験を生かしてまた皆様にお役立ちできればと思います!